意外なゴルフルール番外編

こんな時のルール判定は?

意外なゴルフルールの番外編について紹介して行きましょう。

●ラウンド中にクラブヘッドに鉛を貼る

ラウンド中、どうも今日はヘッドの重みを感じられず調子が悪いと思ったプレーヤー。
調子を取り戻そうと、ラウンド途中でヘッドに鉛を貼ってしまった……。

この判定は?
<競技失格>

いくら打っても当たらない日というのは確かにあって、そんなときはどんな手でもいいから使いたいと思うものだが、ゴルフに関しては不調は自分のスイングを変えることで立ち直るしかなく、このケースのように、クラブに鉛を貼り、性能を変更した場合は、競技失格という厳しいペナルティが待っている(規則4条−2a)。
もっともこれは正規のラウンドでの話なのでプライベートラウンドではこの限りではないが、同伴競技者に注意を受けたりして嫌な気分になるのも考えものなので、やはりやらないほうがいい行為のひとつだ。

●怒って地面を叩いたら、スタート前にクラブに貼ってあった鉛がはがれたので貼り直す

あまりのミスショットの連続に怒ったプレーヤーがアイアンクラブで地面を叩いたところ、スタート前から貼ってあった鉛がはがれてしまった。
そこでプレーヤーはその鉛を貼り直してプレー続行した……。

この判定は?
<競技失格>

スタート前に貼ってあった鉛に関しては、それが通常のプレー中にはがれたときには、元の位置に戻すことは規則で認められている。
しかし、このケ−スのように、怒って地面を叩くなど、通常のプレーとは異なる状況ではがれたケースでは、貼り直しを認めてくれるほど、ゴルフ規則はやさしくない。
本来、通常のプレー以外でクラブが変形したり損傷した場合は、それ以後のラウンドでは使用禁止。
それを破って使用し続けた今回の場合は競技失格という厳しい罰が待っている(規則4条-3b)。
はがしたまま使用することももちろんできない。

●パターの上部が日光を反射してまぶしかったのでラウンド中に絆創膏を貼る

すごくいい天気のラウンドでのこと。
ピカピカに磨き上げられたパターの上部に光が反射してまぶしかったプレーヤーは、ラウンド中にそのパターの上部に絆創膏を貼って反射をやわらげた……。

この判定は?
<無罰>

ラウンド中にクラブの性能を変更することが規則で禁止されているのは、すでに説明したとおり。
しかし、そこで禁止されているのは、あくまでも性能を変更すること。
パターの場合、使用の目的はボールを打って転がすことなので、それに関する性能を変更した場合は、当然反則になるが、このケ−スのように光の反射をやわらげたことは、性能の変更にはあたらない。
したがってこの行為は無罰でOKになる。

●ラウンド中、他のプレーヤーの置き忘れたクラブをバッグに入れて結局15本運ぶ

14本のクラブを持ってラウンドをスタートしたプレーヤー。
途中で他の組のプレーヤーがコースに置き忘れたクラブを拾ったので、そのままバッグに入れてラウンドを続けた……。

この判定は?
<無罰>

ラウンドに使用できるクラブの本数に制限のなかった遠い昔は、キャディに20本も30本ものクラブを運ばせる競技者がいたそうで、そのせいでクラブの本数制限ができたとされる。
現在の規則ではバッグに入れて運んでいいのは14本が限度になった。
このケースのプレーヤーは、スタート時は14本のクラブがバッグに入っていたのだから、規則には従っている。
途中で他の組のゴルファーが置き忘れたクラブを拾ったため、バッグの中が15本になってしまったようだ。
さすがにゴルフ規則もこれを罰するほど厳しくはなく、こうした場合は無罰でOKとされている。

●1番ホールの途中で他のゴルファーがクラブを間違えて入れ、15本運んでいたことに気づく

スタート前14本のクラブを持ってラウンドすることを確認したプレーヤー。
ドライバーを持ってティグラウンドに向かっているうちに他の組のゴルファーが勘違いしてドライバーをそのバッグに入れてしまった。
プレーヤーは1番ホールの2打地点でそれに気づいたが……。

この判定は?
<2打罰>

いくらスタート前に14本しか入っていないことを確認しておいても、実際のスタート時に15本入っていたのは、プレーヤーの責任になってしまう。
たとえその15本に増えた原因が、自分とはまったく関係のないゴルファーのミスによるものだとしても、スタート時の自分のバッグにおさめられたクラブの本数に関してはプレーヤーが責任を持たなければいけないということだ。
結局、このケースでは、プレーヤーに罰がつくが、1番ホールの途中で気づいているので、罰打は2打でいい。

●8番ホールでクラブが15本あることに気づいた

スタート前のクラブ確認をずさんにも怠ってしまったプレーヤー。
そのままプレーを続け、8番ホールでようやく15本あることに気づき、罰をつけようとしたが、いったい何番ホールに罰をつけたらいいのかわからない……。

この判定は?
<1番ホール2打罰・2番ホール2打罰>

クラブの14本という限度を超えてラウンドしてしまった場合の罰打は、超過したクラブの本数にかかわりなく、超過クラブを持ってラウンドしたホールーつにつき2罰打がつく。
ただし最高で1ラウンド4打までということになっている(規則4条‐4)。
だから、このケースでも罰は4打でいいのだが、ではそのスコアはどこに加算されるかというと、このような場合は1番ホールに2打、2番ホールに2打ずつ罰がつくことになる。
1ホールにつき2罰打を2ホール続けたところで限度の4罰打になったという考え方だ。
15本のクラブは、気づいた時点で不使用宣言をし、以後使ってはならない。

●各ホールのスコアは合っていたが合計を間違えてスコアを提出

ある競技会に参加したプレーヤー。
スコアを提出するにあたって、競技委貝に提出したスコアカードの各ホールのスコアは合っていたが、計算が狂い合計スコアを問違えて提出してしまった……。

この判定は?
<無罰>

ストロークプレーの競技においては、スコアカードの提出は大事なことであるが、その場合、プレーヤーに求められているのは、各ホールのスコアに責任を持つこととされている(規則6条−6d)。
したがって合計スコアの欄に書かれている数字には責任を持つ必要がなく、そこで間違えていても無罰でOKだし、正しいスコアが自動的に採用される。
合計ストロークはかかなくてもOKだ。
ちなみに各ホールのスコアのうち、間違えてスコアを少なく書いてしまったホールがあったら残念だが競技失格。
逆に多く書いてしまったホールがあった場合は失格ではなくその多く晝いたスコアの数字がそのまま採用になる。

●同伴競技者の前のホールでの使用クラブを次のホールで尋ねる

前のホールで同伴競技者が使用したクラブの番手がわかると、今後のラウンド中に参考になると考えたプレーヤーが、次のホールに行ってから使用クラブを尋ねた……。

この判定は?
<無罰>

規則で禁止されているアドバイスには、同伴競技者の使用クラブを教えてくれるよう求めることも入っている。
ただし、それは自分のクラブ選択の材料となるような助言を求めることが禁止されているのに過ぎない(規則8条−1)。
このケースも厳密にいえば、その後のプレーの中でショットの決断に影響を与える材料となるのだが、今、眼前で行われているプレーの決断に影響を与えるわけではないので、反則とはならず無罰でOKなのだ。
逆にいえば、こうした情報を上手に仕入れていくのもゴルファーとして必要な戦略のひとつなのだろう。

●ラウンド中に双眼鏡を利用してピンの位置を確認

セカンド地点で、ピンポジションがグリーンのどのへんにあるのかをクラブ選択の参考にしようと考えたプレーヤー。いつも携行している双眼鏡を取り出し、ピンを見た……。

この判定は?
<無罰>

ゴルフは自分ひとりの力でクラブとボールを使って自然と戦うスポーツである。
だから規則でも、ストロークをするうえで自分の援助になるような人工の機器を使用することを禁止している。
同時に同じ規則ではプレーに影響するような距離や状況を測る目的の機器も使用を禁止している(規則14条−3)が、このケースの双眼鏡は、結論からいうと使用はOKだ。
もちろん双眼鏡に距離を計測する目盛りや機能がついている場合は反則になるが、単に遠くを見るだけの機器ならば、使用してもかまわない。それを禁止したら、眼鏡の使用だって禁止しなければならなくなるからだ。

●ラウンド中に携行した素振り用器具をつけてスイング

ラウンド中、ヘッドが走らないと感じたプレーヤー。
キャディバッグに入れてあった、クラブの先端につける加重用のおもりをつけて素振りを繰り返した……。

この判定は?
<競技失格>

ゴルフ規則でラウンド中の使用が禁じられている人工の機器には、練習用の器具、トレーニング用具といったものが含まれる。
このケースのように負荷をかけたクラブを振れば、その後のスイングは非常に軽く感じられるだろうが、残念ながら反則となっていきなり失格になる。
ちなみにクラブを握る上でプレーヤーの補助になるものを使用することも同様に禁止されているが、特殊な加工のない単純な手袋の装着、松脂やパウダー、加湿剤、乾燥剤の使用、そしてタオルやハンカチをグリップに巻き付けるのはOKだ。

 

サイトマップ