グリーンでのジャッジの意外なゴルフルール

グリーンでこうなった時のルール判定は?

グリーンで起こる様々な状況での意外なゴルフルールについて紹介して行きましょう。

●パットする際に風除けにキャディバッグを寝かせておく

ある日の強風下でのラウンド中のこと。
風でパットしたボールが流されるのを嫌ったプレーヤー。
ストロークの前にパットの線の後方の風上に自分のキャディバッグを風除けに寝かせておいた……。

この判定は?
<2打罰>

確かに、ひどく強い風が吹いていると、アゲンストのときはボールが転がらない感じを受けるし、フォローのときはどんどん転がってしまうような印象を受ける。
しかし、それを受け入れるのが自然と闘うゴルフというスポーツ。
このケースのように、球の動きに影響を及ばす行動は規則に従う場合を除いて、相手が自然であるとないとにかかわらず、してはならないことが決められている(規則1条−2)。
この行為は反則となり2罰打がつく。

●パットの線上の小枝をタオルで払いのける

グリーン上でストロークしようとしたときに、パットの線上に小枝が落ちていたのを発見したプレーヤー。
そばにあったタオルで横に払いのけるようにして小枝を動かしたが、そのときパットの線に触れた……。

この判定は?
<2打罰>

規則ではパットの線に触れることは禁止されている。
しかし、その例外規定として、ルースインペディメントを取り除くときには触れることが許されている(規則16条−la)。
ただし、その取り除き方も同じ規則で規定されており、つまみ上げたり、何も押さえつけないようにして手かクラブで払いのけることだけが許されている。
ゆえにこのケースのタオルで払いのけてプレーの線に触れてしまった場合は反則になって2罰打がついてしまう。
手でつまみ上げるか、クラブで払いのければよい。

●同伴競技者にパターを渡そうとして偶然、自分のパットの線上を歩く

グリーン上でパットする前に同伴競技者にパターを渡してあげようと歩み寄ったプレーヤーが、偶然、自分のパットの線上を歩いてしまっていた……。

この判定は?
<無罰>

パットの線に触れることはいつでも禁止されているが、このケースのように偶然、歩いてしまった場合には、それによってパットの線が改善されるようなことさえなければ、プレーヤーの行為は反則にならす、無罰でOK。
ただし、プレーヤーが偶然ではなく意識的に自分のパットの線上を歩いた場合には、反則となって2罰打がつく。
このようにゴルフ規則も偶然はOKしてくれるが、意図的な行動は罰する場合が多い。

●ボール後方のグリーン面に手を当てて湿り具合をテスト

グリーンオンしたプレーヤー。
グリーンの湿り具合が転がりに影響すると思い、ボール後方のグリーン面に手をそっと押し当てて湿り具合をテストした……。

この判定は?
<無罰>

グリーン面のテストは確かに反則になる。
プレーヤーは1ホールのプレー中に、そのホールのグリーン上で球を転がしたり、面をこすったり、引っかいてテストすることを禁止されている(規則16条−1d)。
しかしこのケースでは、プレーヤーは上記のような行動をとっていない。
あくまでもそっと手で触れただけでグリーン面をこすったり、引っかいたりもしていない。
また同時に、ボールの後方なので、パットの線にも触れるという反則も犯していない。
結局、無罰でOKということになる。

●キャディがグリーン面をテストしたが、情報はもらわなかった

プレーヤーが求めたわけではないのに、キャディが芝をこすってグリーン面をテストした。
それを見たプレーヤーはルール違反に気づき、キャディを注意するとともに、情報はもらわなかった……。

この判定は?
<2打罰>

ゴルフにおいては、キャディとプレーヤーはほぼ一心同体といっていい。
それは規則上の扱いをとっても同じこと。
自分のキャディの規則違反に関しては、どのようなものでも、それに該当する罰をプレーヤーが受けると規則には明記されている(規則6条−4)。
このケースでもグリーン面をテストしてはならないという規則に反する行動をキャディがとっだのだから、その場合の反則はプレーヤーにつく。
たとえ情報をもらおうとももらわなかろうとも、キャディが反則を犯した事実は変えられない。

●ボールについていた泥をグリーン面でこすって拭く

ラフからのショットが見事にグリーンオンしたプレーヤーが、ボールのところに行ってみると泥がついていた。
そこでプレーヤーはマークして拾いLげたあと、そのボールをグリーン面にこすりつけ泥を落とした……。

この判定は?
<無罰>

規則で禁止されているのは、グリーン面をこすることそのものではなく、グリーン面をこすって芝の状態をテストすること。
このケースのようにボールでグリーン面をこすっても、そこにグリーン面をテストしようという意識がないのだったら、規則違反にはならず、無罰でOK。
ただし、グリーン面をテストしようとしたかどうかはプレーヤー本人にしか分からないことでもある。
こうした場合には、グリーン面のテストという疑いを招かぬように、別の方法で泥を落としたほうがいいのはいうまでもない。

●グリーン上にリプレースした球が風で動いたが、止まった位置からプレー

風の強い日のプレーでのこと。
2メートルのバーディチャンスにグリーンオンさせたプレーヤー。
リプレースしたボールの後方から慎重にラインを読んでいたら突風が吹き、1メートルほど遠ざかったが、止まった位置からそのままプレー続行……。

この判定は?
<無罰>

止まっているボールが動かされた場合には、その動かしたものが何かによって処置が異なる。
もし動かしたのがプレーヤー自身や自分のキャディ(共用のキャディを含む)、自分の携帯品だったら特に定められた場合以外は1罰打をつけてリプレース。
同伴競技者やそのキャディ、同伴者の携帯品、局外者なら無罰でリプレース(規則18条)となっている。
しかし、このケースのように動かされた原因が風にある場合は、風は局外者ではないので、起こった状況をありのままに受け入れるしかない。
もちろん無罰だが、そのままプレー続行するしかないのだ。
風に動かされたボールがカップから遠ざかっても近づいてもその処置は同じ。

●リプレースしたボールがマークをどかさぬうちに風で動く

では、同じようにグリーン上にリプレースした球が風で動いた場合を考えてみよう。
今度のケースはリプレースしてすぐ突風で動いたのでマークが残っていたが、その動いた位置からそのままプレー……。

この判定は?
<無罰>

グリーン上で拾い上げられていたボールをリプレースしたときに強い風が吹いた話を続けよう。
今度のケースは、リプレースしてマークを取り除く前に、強い風でボールが動かされてしまったケース。
まだマーカーが残っているから、動いてしまったボールは元に戻さなければならないような気がするかもしれないが、ボールはマークを拾い上げたときではなくリプレースされた時点でインプレーになっている。
したがってこのケースも前項同様に無罰で動かされた位置からそのままプレーするのが正しい選択なのだ。

●パットの線上にカジュアルウオーターがあるのでグリーン外にプレース

ボールがグリーン上にあったが、パットの線上にカジュアルウオーターがあったので救済を受けることにした。
障害を避けて最も元の位置に近い場所がグリーン外だったのでそこにプレースしてプレーした……。

この判定は?
<無罰>

ボールがグリーン上にあるときは、パットの線上にカジュアルウオーターがあるケースでも救済は受けられる。
そのカジュアルウオーターを避けられ、しかも、ホールに近づかないニヤレストポイントを決め、無罰でそこにプレースすればいい。
球がグリーン上にあるときのニヤレストポイントは、ハザード外という規定しかないので、このケースのようにプレースすべき場所がグリーン外になってしまっても構わないしやむを得ない(規則26条1−b)。
グリーン外はイヤということで元の位置から遠い(ニヤレストポイントではない)グリーン上からプレーするのは認められないのだ。
このときグリーン上にボールがあった場合は常にプレースするのだが、ついグリーン外でプレーしようとするとドロップしてしまいがちなので注意すること。

●同伴競技者がたまたまプレーヤーのパットの線を踏む

4人ともパーオンしたグリーン上。
プレーヤーのボールとホールを結ぶパットの線上を、ラインを読んでいた同伴競技行が横切るように歩き、偶然、踏んでしまった……。

この判定は?
<無罰>

パットの線を踏まれるということは、ボールの転がりが変わってしまうことも、十分考えられるが、この同伴競技者は偶然、歩いてしまったわけで、このときにボールの動きに影響を与える行動を禁止する規則に反しているとしてペナルティをつけることはできない。
このケースでは同伴競技者は無罰でOK。
なおこのときにプレーヤーは、同伴競技者が歩いたことによってパットの線が傷つけられていたら、公正の理念にしたがって、元の状態に戻すための修理が認められている。
ちなみに、同伴競技者が意図的にプレーヤーのパットの線の上を歩いたら、同伴競技者に2罰打がつく。
そして何度も繰り返したら競技失格になる。

●グリーンでボールをマークするのにマーカーを真横に置く

グリーン上でボールを拾い上げるためにマークしようとしたプレーヤー。
そのままボールの後方にマークすると同伴競技行の邪魔になる気がしたので、ボールの真横にマークした……。

この判定は?
<無罰>

ボールを拾い上げるときには、それがリプレースを要するのなら、必ずマークしなければならず、マークなしに拾い上げたときは1罰打がつくことが規則で決められている(規則20条−1)。
しかしながら、ボールをマークしなければならないとは決められているが、マークする位置に関しては決められていない。
したがって、このケースのように真横にマークしても、正しい位置にリプレースされれば、まったく問題なく無罰で0K。
極端なことをいえば、グリーン面を強く押しつけて立っていた芝を寝かせるような転がりに影響を与える行動さえなければ、ボールのカップ寄りにマークするのもOK。
しかし、ボールの後方5センチの位置にマークしたら、それは離れすぎなので反則になり1罰打がつく。

●カップの向こうの小枝をどかさすにそのままパット

カップの向こう側に小枝が数本落ちているのを見たプレーヤー。
ラインが下りだったので、そのままにしておけばオーバーしたボールを止めてくれるかもしれないと考えて、そのままストロークした……。

この判定は?
<無罰>

小枝はルースインベディメント。
ルースインペディメントは規則では「取り除くことができる」とされているのであって、取り除かなければならないわけではないのでこのケースはもちろん無罰。
たとえば同伴競技者が、その小枝を取り除こうとしたら、それを止める権利もプレーヤーにはある。
もし同伴競技者がそれを無視して小枝を取り除いたら、球に影響を及ぼす行動を禁止する規則(規則1条−2)に反したことで同伴競技者は2罰打を受ける。
プレーヤーが止めなかった場合は取り除いても罰はない。
もっとも自分の意向を無視して同伴競技者が取り除いた小枝をプレーヤーがまた元に戻したら、それはそれでプレーヤーに2罰打がつくので注意してほしい。

 

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