グリーンでのストロークの意外なゴルフルール

グリーンでこうなった時のルール判定は?

グリーンで起こる様々な状況での意外なゴルフルールについて紹介して行きましょう。

●同伴競技者の球が当たりそうなのであわてて旗竿を抜く

あるホールのグリーン上。
プレーヤーが旗竿を抜こうと近づいたときにロングパットの残っていた同伴競技者がパット。
そのボールがぐんぐん旗竿に向かってきて当たりそうになったのでプレーヤーがあわてて旗竿を引き抜いた。

この判定は?
<2打罰>

グリーン上でストロークした球が人の付き添っていない旗竿に当たった場合は、2罰打が当てた人につく。
このケースではまさにその事態が起ころうとしたために、ちょうど旗竿のそばに近寄っていたプレーヤーがあわてて旗竿を抜き、事なきを得たように見えた。
しかし、事前に付き添っていなかった旗竿を抜き取ったプレーヤーは、ボールの動きに影響を与える行動をとってはならないという規則の違反を犯したことになってしまう。
したがって、このケースでは旗竿を引き抜いたプレーヤーに2罰打がつきパットした同伴競技者には罰がない。

●ホールの縁に球が止まつたのでそばで飛び跳ねて振動でカップイン

バーディパットが惜しくもホールの右縁に、中をのぞくようにして止まってしまったのを見たプレーヤー。
首尾よくボールはカップイン……。

この判定は?
<1打罰>

ティからグリーンまでボールを運びカップインさせる過程において、ストローク以外にボールを動かす方法はゴルフでは認められていない(ときに見かける前進4打は、あくまでもローカルルールなので、この際、関係がない)。
ボールを飛び跳ねたときの振動でカップインさせようという行為も当然反則になる。
このケースでは、インプレーの球をプレーヤーが動かしたのだから1罰打がつき、カップからボールを取り出しリプレースして打ち直さなければならない(規則18条−2a)。
もしボールが動いているうちにプレーヤーが飛び跳ねて方向を変えカップインさせたような場合は、球の動きに影響を与えることを禁止する規則の反則として2罰打がつくが、カップインは認められる。

●片手で傘をさしながら片手でストロークしてカップイン

雨の日のラウンドでのこと。
ファーストパットをタップインの位置に寄せたプレーヤー。
片手でパットしても大丈夫な状況だったので、左手に傘をさしたまま、右手でパットしてボールをカップインさせた……。

この判定は?
<無罰>

たとえチーム戦でも、最終的にショットの瞬間はゴルフはあくまでも一人でプレーするスポーツなので、ストローク中に体を支えていてもらうなどの物理的援助や風雨などから身を守るような保護を他の人から受けることは規則で禁じられている(規則膕条‐3)。
しかし、このケースは保護を他人から受けているわけではなく、自分自身を保護しているにすぎない。
したがって無罰でOKになる。
同時に傘は規則で使用を禁止されている人工の機器にあたりそうな気もするが、このケースの傘はストロークのためには使われていないし、持っていることが不自然でもない道具なのでそれにはあたらない。

●パットの線の球の後方延長線上にたまたまキャディが立つたままストローク

プレーヤーがパットをストロークしようとしていたときのこと。
ちょうどパットの線のボールの後方延長線上にキャディが立って次のホールのティグラウンドを眺めていた。
プレーヤーはそれに気づかずそのままストローク……。

この判定は?
<無罰>

もちろんプレーの線を示す位置やパットの線を示す位置にキャディを立たせたままストロークするのは反則(規則8条−2)だし、プレーの線やパットの線のボールの後方延長線上、もしくはその付近にキャギ彳を立たせたままストロークすることもゴルフ規則で禁じられている(規則14条‐2b)。
しかし、それはプレーヤーのプレーの援助になる行為を禁止しているわけで、このケースのようにキャディにもその意図がなく、プレーヤーもそのことに気づいていないような場合は反則にはならす無罰でOK。
ただしプレーヤーがキャディの立っている位置が反則の場所であることに気づいたのなら、キャディにそこを動くように指示するべき。

●同伴競技者が旗竿を抜かなかったため、パットした球が旗竿に当たった場合。

同伴者の意思で裁定が異なる

1.プレーヤーに罰を与えようとした

プレーヤーから旗竿の付き添いを頼まれ承諾した同伴競技者が旗竿を抜かなかったため、プレーヤーのボールが旗竿に当たった。実は同伴競技者はプレーヤーに罰を与えようと、わざと抜かなかった……。

この判定は?
<同伴競技者失格・プレーヤー打ち直し>
このケースでは悪意に満ちた同伴競技者は、球の動きに影響を与える行動を禁止する規則の重大な違反となり、失格になる(規則1条-2)。
プレーヤーは公正の理念にしたがって罰なしに打ち直し。

2.プレーヤーのボールのオーバーを防ごうとした

今度の同伴競技者はプレーヤーに罰を与えようとしたのではなく、プレーヤーのボールがオーバーするのを防いであげようとするためだった……。

この判定は?
<同伴競技者2打罰・プレーヤー2打罰>
このケースの同伴競技者は第1のケースと異なり、善意に満ちあふれている。
というより満ちあふれすぎていた。こうした場合は、やはり過ぎたるは及ばざるがごとし。
まず同伴競技者は球の動きに影響を与える行動をとったので2罰打。
またプレーヤーも旗竿にボールを当ててしまった反則で2打罰がつく(規則17条-3a)。

3.同伴競技者がよそ見をしていた

最後はまったくの不注意による旗竿とボールの衝突のケース。
同伴競技者がたまたまよそ見をしていたので旗竿を抜き損ない、結果、プレーヤーのボールが旗干に当たってしまった……。

この判定は?
<同伴競技者無罰・プレーヤー2打罰>

同伴競技者には確かに悪意も善意もなかった。
たまたまよそ見をしていて、ボールが旗竿に当たってしまったこのケースでは、プレーヤーが責任を負わなければならない。
同伴者は無罰で、プレーヤーに2罰打がつくのだ。
第1のケースはともかく第2、第3のケースではプレーヤーは少々納得がいかないかもしれないが、それが規則。
旗竿への付き添いを同伴者に依頼するときは、相手を選んだほうがいいかも知れない。

●ボールとホールを結ぶ直線をまたいでストローク

プレーヤーがスライスラインのパットをストロークしようとしていたときのこと。
自分が転がそうと思うラインに平行にスタンスをとったところ、ボールとホールを結ぶ線をまたいでストロークすることになった……。

この判定は?
<無罰>

ゴルフの規則では、グリーン上ではパットの線を踏んだり、またいだりしてストロークすることを禁じている(規則16条-1e)。
したがってホールとボールを結んだ線が、パットの線にあたれば当然、それは反則になる。
ストレートラインならば、ホールとボールを結んだ線とパットの線は一致するわけだ。
しかしこのケースのようにスライスラインでボールをホールより左にふくらませて打ち出すときは、パットの線はその左に打ち出すラインとなる。
パットの線とは、すでに説明したとおりストロークした球にとらせたい線のことなのであるから、ホールとボールを結んだ線をまたごうとも、このケースは無罰でOK。

●アドレス後、ボールの上の虫を追い払ったらボールが動く

プレーヤーがまさにバッティングをしようとアドレスに入った後で、ボールの上に飛んできた虫が止まった。
プレーヤーはこれを追い払おうと、その位置でかがんで手で虫を払いのけたところ、誤ってボールに触れて動かした……。

この判定は?
<無罰>

昆虫はゴルフ規則ではルースインベディメントになる。
プレーヤーがルースインベディメントを取り除いているときにグリーン上の球を動かしても無罰(規則18条−2C)で、ボールはリプレースしなければならないと規則に定められている。
このケースは虫を追い払おうとしたのだから、ルースインベディメントを取り除く行為と明らかに結びつけられるので無罰でOK。
一般にアドレス後にボールを動かした場合は1罰打がつく(規則18条−2C)が、このケースでは前記の条項が優先される。

●ストロークした球が歩いている同伴競技者に当たってしまった

プレーヤーがロングパットにチャレンジしてストロークした。
その球が、ちょうど自分のラインを読もうとグリーントを歩いていた同伴競技抖に当たって方向が変えられてしまった……。

この判定は?
<無罰でやり直し>

同伴競技者は規則では局外者にあたるわけだが、グリーン上でストロークされたボールが動いている局外者や生きている局外者に当たって方向が変えられたり、止まってしまった場合は規則に規定されている。
このケースでは、プレーヤーはそのストロークを取り消して打ち直しすることになるの(規則19条−lb)。
4打目のストロークが同伴競技者に当たれば、取り消して同じ場所から4打目のストロークをする。
これを怠って当たって止まった場所からプレーを続けた場合は誤所からのプレーの反則。
そのとき圧倒的に有利な位置に近づくなど重大な違反があれば失格、重大な違反がなければ2罰打。

●同伴競技者のマーク地点からプレー後、あわてて正しい位置からストローク

プレーヤーが自分のマークのすぐ後方近くにあった同伴競技行のマークを自分のものと勘違いしてそこからストロークしたが、自分で誤りに気づき、これをマークせずにボールを拾い上げ、自分の正しいマークの前からストロークし直した……。

この判定は?
<4打罰>

自分のマークと同伴競技者のマークを勘違いしてプレー。
同じコースの同じ色のマークを使っていると、起こりやすい状況だろう。
このケースでは自分のマークのすぐ後方近くにあったマークの位置からプレーしてしまったところで、プレーヤーは誤所からの反則を犯しているので2罰打がつく(規則20条−7b)。
本来なら2罰打を受けているのだからそのまま誤所からプレーしたボールをインプレーとしてプレーを続行するべきだったのだが、このケースではプレーヤーはインプレーのボールをマークせすに拾い上げ、しかもリプレースを怠ったので2罰打がさらにつく(規則20条−1)ので合計4罰打。

●カッときてグリップエンドでボールを打つ

ごく短いショートパットがカップをなめて縁に止まってしまったのを見たプレーヤー。
怒りにまかせて、その球をグリップエンドでヒットするようにしてカップインさせた……。

この判定は?
<2打罰>

ゴルフのプレーにおいては、球は正しく打たなければならない。
正しく打つとは、クラブヘッドで正しく打つこと(規則14条−1)。
このケースで問題になるのは、クラブヘッドで打っていないところである。
グリップエンドはゴルフ規則ではボールを打つ部分として認知されていないわけで、当然、この行為は反則になってしまう。
ただし、このグリップエンドでストロークした1打は打数にカウントされ、ボールがカップインしているので、このホールのプレーは終了したことになる。

●ホールの縁に止まった球を30秒待っていたらカップインした

パットしたボールが、ホールの中をのぞき込むような感じで止まってしまった。
納得できないプレーヤーはボールのところまで歩み寄ってからジーつと30秒ほど待ったところ運よくボールがカップインした……。

この判定は?
<1打罰>

確かに、ホールに落ちかけているようにボールが止まってしまうと、うらめしい気持ちでカップインを待ちたくなる。しかし、規則では、球の一部がホールの縁にかかっている場合に関して、不当に遅れることなくホールに歩み寄る時間に加えて10秒間だけ待ち時間を認めているに過ぎない(規則16条-2)。
このケースのようにそれを超えて30秒も待ってしまった場合は、最後のストロークでホールインしたことは認めるが1罰打を加えることが求められる。
3打目がカップの縁に止まったのを30秒待ったら、カップインは3打目だが1罰打を加えてスコアは4打になる。

 

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